令和4年10月7日付で国税庁より事業所得と業務に係る雑所得についての通達(所得税基本通達35-2)が発出されました。
この通達は、業務に係る雑所得に該当する所得を例示するとともに、給与所得者等が副業や兼業で得た所得について、事業所得と認められるかどうかの判定方法の考え方を明らかにしたものです。
この改正は、令和4年分以降の所得税に関して適用されますのでご注意ください。
事業所得と認められるか、業務に係る雑所得になるかについては、その所得を得るための活動が、“社会通念”に照らして事業といえる程度で行っているかで判定します。
また、その所得に係る取引を記録した帳簿の記録や書類の保存がない場合には、業務に係る雑所得として判断されます。ただし、その所得に係る収入金額が300万円を超えており、かつ、事業所得と認められる事実を除きます。

 
※例えば、会社にお勤めで給与収入があり、兼業で農家を営んでいるが、農業に関する帳簿や書類の保存がない場合は、事業所得とすることができず、業務に係る雑所得として取り扱われることがあります。この場合は、他の所得と損益通算ができないため、所得税や個人住民税において、去年よりも税額が増額となる可能性があります。
 
事業所得・・・農業や漁業、製造業、小売業、サービス業などの事業を通じて生じた所得のことです。
業務に係る雑所得・・・副業や兼業で得た収入のうち、営利目的で継続的なものの所得のことです。
 
〇事業所得と業務に係る雑所得の区分
収入金額
記帳・帳簿書類の保存あり
記帳・帳簿書類の保存なし
300万円超
概ね事業所得(注)
概ね業務に係る雑所得
300万円以下
業務に係る雑所得
(注)次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することになります。
(1) その所得の収入金額が僅少と認められる場合
(2) その所得を得る活動に営利性が認められない場合
 
※フローチャート図を参照し確認してください。 フローチャート図 [53KB pdfファイル] 
 
※帳簿書類を作成・保存しておらず、雑所得に該当する場合は下記のようなデメリットが生じる可能性がありますのでご注意ください。
 
(1)    青色申告の特別控除、3年間の損失の繰り越し控除、少額減価償却資産の特例が算入できない。
 
(2)    事業所得の専従者給与や専従者控除ができない。
 
(3)    家事関連費の必要経費不算入。
 
(4)    雑所得の損失は他の所得と損益通算ができない。
 

詳しくは茂原税務署または大多喜町役場税務住民課にお問い合わせください。
(茂原税務署 0475-22-2166)
(大多喜町役場税務住民課 0470―82-2122)