若い皆さんに知ってほしい!健康管理の新常識『プレコンセプションケア』

更新日:2024年10月22日

プレコンセプションケアって?

直訳すると、プレ(pre)とは「~の前の」、コンセプション(conception)とは「新しい命を授かる」ことで、プレコンセプションケアは「妊娠前からの健康づくり」を意味します。

というと、妊娠したい人だけのものと思っていませんか?
プレコンは、若いうちから妊娠・出産を含めた将来のライフプランを考えて、自分の生活に向き合い、健康を維持していくためのものです。次世代を担う子どもの健康にもつながるとして、近年注目されているヘルスケアです。

早い段階から妊娠・出産の知識を持ち、女性も男性も自分の身体への健康意識を高めることが大切です。将来の健やかな妊娠や出産につながり、未来の子どもの健康の可能性を広げます。つまり、男女問わず、若い世代に知って欲しい言葉ですし、女性の健康を支えるパートナーやご家族、親御さんにも知っていただきたいことです

いまは妊娠や結婚を考えていなくても、プレコンセプションケアを実施することで、いまの自分がもっと健康になって、人生100年時代の満ち足りた自分(well-being)の実現につながります。元気で満ち足りたからだとこころをめざすことは、とてもすばらしいことです。

プレコンセプションケアは、より豊かで幸せな人生へと、皆さんを導いてくれるでしょう。

プレコンセプションケアの流れ。妊娠・胎児、新生児、小児、思春期、成人、母性・父性という成育サイクルの円図とそれをとりまく各サイクルでの健康。

引用:国立成育医療センター

何をしたらいいの?

プレコンセプションケアのキャラクター。笑顔で両手を広げている

人生100年時代と言われていますね。

健康は、年を取ってから気を付けるものではなく、若い時からの良い健康生活の積み重ねで培われていきます。
今後も自分が「健康」で、やりたいことができるように、自分自身が今できていること、今後気をつけたほうがよいことをチェックしてみましょう。

プレコンセプションケアチェックシート(女性用)例:適正体重をキープしよう。HPVワクチンを接種したか確認しよう。持病と妊娠について知ろう。
プレコンセプションケアチェックシート(男性用)例:バランスの良い食事を心がけ、適正体重をキープしよう。たばこや危険ドラッグ、過度の飲酒はやめよう。

どの位チェックがついたでしょうか?

今のご自分の健康の意識について再認識できたかと思います。

当てはまる項目を1つずつ増やしていきましょう。

今日からプレコン(健康づくり)を始めてみましょう!

プレコンには1~5のActionがあります。

プレコンノートを使えば、プレコンのポイントを学びながら、5つのActionを起こす準備ができます。からだは毎日、一生懸命に活動しています。だから、からだやこころの悩みがあるのは当然です。そんな悩みを勉強や仕事に持ち込まないためには、しっかりとメンテナンス=ケアが必要です。からだとこころの声をきちんと聴いて、5つのプレコンActionを今日から始めましょう!

 

もっと具体的に知りたいときは、外部リンク:国立成育医療センターhttps://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/preconnote/#howtouse を参考にしてください。

アクション1、今の自分を知ろう。(生物学的な男女の違い、多様性など)アクション2、生活を整えよう。(栄養、葉酸、危険ドラッグなど)アクション3、検査やワクチンを受けよう。(感染症、ワクチン、生活習慣病など)アクション4、かかりつけ医をもとう(婦人科、月経、避妊など)アクション5、人生をデザインしてみよう(人生デザインシートを書いてみよう)

下記から「ヘルスケア」の知識とケアについてが記されているプレコンノートをダウンロードいただけます。

健康のために、できることからやってみよう!

1.適正体重を保とう!

体重計のイラスト

ご自分のBMIは知っていますか?

やせ(BMI18.5未満)も肥満(BMI25以上)も不妊や妊娠・出産のリスクを高めます。20歳代の女性の5人に1人がやせと言われています。栄養不足による若い女性のやせは、貧血や将来の骨粗しょう症の原因だけでなく、低出生体重児等、将来の赤ちゃんの健康にもかかわります。
また、肥満は生活習慣病の原因になる以外にも、妊娠糖尿病妊娠高血圧症候群のリスクになります。

自分の身長・体重のバランスを確認してみましょう。

BMI=体重(キログラム)÷身長(メートル)÷身長(メートル)

(例)身長159センチメートル、体重60キログラムの場合 60÷1.59÷1.59=23.7

※BMIは18.5~24.9を維持しましょう。

2.栄養バランスを整えよう!

栄養士がらバンスの良い食事を勧めているイラスト

主食・副菜・主菜・乳製品・果物 の5つのグループをバランスよく食べましょう。

栄養不足による若い女性のやせは、貧血・肌荒れ・骨密度や筋力の低下などを引き起こします。月経不順や不妊、低出生体重児の原因になるなど、将来の妊娠・出産にも影響を与えます。農林水産省の調査(食育に関する意識調査報告書 令和5年3月)では栄養バランスを考えた食事を1日2回以上とれている日がほとんどない、もしくは週2~3日の人の割合は20代で58.8%であり、半数以上が栄養バランスの偏った食生活を送っていることが分かりました。また、エネルギーのもととなる穀物の摂取量は20~40代の女性で減少しており、十分にエネルギーを摂取できていない現状があります。加えて、先進国の食事は肉類や精製された穀物、糖質、脂質が多い反面、ビタミン、ミネラルが不足しがちであることにも注意が必要です。

 

【葉酸は妊娠の1か月以上前から必要な栄養素です】

妊娠前から妊娠初期にかけて、葉酸というビタミンをしっかり摂ることで、赤ちゃんの神経管閉鎖障害の予防につながります。

神経管閉鎖障害とは、胎児の神経管ができるとき(受胎後およそ28日)に起こる先天異常で、無脳症・二分脊椎・髄膜瘤な どがあります。

妊娠を知るのは神経管ができる時期よりも遅いため、妊娠を希望する女性は緑黄色野菜を積極的に摂取し、サプリメントも上手に活用しながらしっかり葉酸を摂取しましょう。

3.適度に運動し、体力・代謝を高めよう!

適正体重の維持に積極的な運動は欠かせません。血流がよくなり、筋肉量が増えることで代謝も高まります。運動はこころの状態にも良い影響を与えます。

1週間に150分程度の運動が目安とされています。早歩きや、お家でヨガ、テレビ体操、筋トレなど・・・・できることからいつもより「10分多く」自分のために貯筋チャレンジしてみましょう。

4.アルコールは考えて飲もう

妊娠中にお酒を飲むと、アルコールは胎盤を通って赤ちゃんにも影響し、胎児性アルコール症候群の原因になります。「この量なら大丈夫」というものは確立していませんので、妊娠を考えたときからアルコールは控えるようにしましょう。妊娠中は禁酒が原則です。

5.タバコは吸わない

タバコはがん・心臓病をはじめたくさんの病気を引き起こします。

また男女ともに不妊症のリスクが増加し、特に妊娠中の喫煙や受動喫煙は流産、 早産、周産期死亡、低体重を引き起こす可能性があります。

赤ちゃんが生まれた後も乳幼児突然死症候群のリスク因子となるなど、その影響はきわめて広範囲です。WHOは妊娠中の電子タバコの使用はリスクがあるとしています。禁煙外来を活用して、いますぐに禁煙しましょう。

6.感染症を予防しよう

若い人の間で、「性感染症」が増えています。

感染しても無症状であることが多く、治療に結びつかないケースが多く見られます。知らないあいだに他の人にうつす可能性があるため、セックスの際にはコンドームを使 用して、感染を防ぎましょう。

また性感染症の中には、不妊の原因になったり、妊娠中にかかると赤ちゃんの健康に影響を与えるものがあります。思い当たることがある人は、婦人科・泌尿器科で相談して、しっかりと治療することが大切です。パートナー間で感染しあうピンポン感染を防ぐため、カップルは一緒に性感染症のチェックをしましょう。

保健所では、無料で性感染症の相談をすることがで きます。

7.若い時から健(検)診を受けよう

20代から定期的に子宮頸がん検診を受診しよう

女性にとってかかりつけ婦人科医は、あなたのライフプランを尊重し、適切なケアを提供してくれるパートナーのような存在です。

特に現代の女性は妊娠・出産回数が減ったことで月経回数が増え 月経に関する症状で日常生活に支障をきたす人が増えています。子宮内膜症を発症する人も多く、なかにはひどい月経痛や不妊に至ることもあ ります。我慢できない痛みがある人は、気軽に相談してみましょう。

また女性は20代から子宮頸がんに罹患する人が増加します。将来の妊娠のためにも、予防と早期発見が重要です。そのためには、HPVワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診の両方を受けることが効果的です。

町では年に1回集団子宮がん検診を実施しています。(例年6,7月)時期になったらホームページ、広報等でお知らせします。

生活習慣病

糖尿病や高血圧などの生活習慣病がないか、定期健診で確認しましょう。これらの疾患がある場合、合併症予防のために計画的に妊娠する必要がありますし、妊娠に向けて治療を行っていて服用している治療薬がある場合は、治療薬の見直しが必要なケースがあります。

毎年健康診断を受けるとともに、肥満や家族に糖尿病や高血圧の人がいる場合は、かかりつけ医に相談しましょう。治療によって病気をコントロールすることで、妊娠経過や赤ちゃんの健康リスクを減らすことができます。

また、妊娠適齢期の女性だけでなく、男性、ご家族のかたも生活習慣病でないか、ご自身の健診結果で今一度ご確認をお願いします。生活習慣は一緒に住んでいるご家族と似通る傾向にあります。ぜひ、自分だけでなく、ご家族も巻き込んで予防に取り組んでいただきたいです。

定期的に歯科健診を受けましょう

歯周病にかかっていると、低出生体重児および早産のリスクが高くなるとされています。また、妊娠すると女性ホルモンの影響で歯肉炎になりやすいことが知られています。妊娠前から定期的に歯科検診を受け、口腔内を清潔に保つことを心がけましょう。

8.妊娠と年齢について知ろう

「いつか、子どもを持ちたい」と考えている人は、妊娠できる年齢には限りがあることを知っておきましょう。
妊娠・出産の適齢期は医学的には20歳代です。個人差はありますが、女性は30歳ぐらいから徐々に妊娠する力が減りはじめ、30代後半で急速に低下します。男性も35歳ぐらいから徐々に精子の質の低下が起こります。

また高齢での妊娠は、妊娠率の低下と流産率の増加が起こり、たとえ体外受精や顕微授精などの生殖補助医療を行って受精を起こさせることができても、妊娠率・生産率は低下するといわれています。
何歳までに何人子どもが欲しいかを含めて、ライフプランを立ててみましょう。

妊娠についての正しい知識を知ろう!

千葉県のYouTubeチャンネル「千葉県公式セミナーチャンネル」では、武蔵野大学看護学部 教授 坂上 明子(さかじょう あきこ) 先生によるプレコンセプションケアについての動画を令和6(2024)年2月~令和8(2026)年3月末までの期間限定で公開しています。

プレコンセプションケアは妊娠を希望している人だけに必要なケアではなく、若い世代すべての人に必要なケアだということがわかりやすく動画でまとめてありますので、ご覧になってみてください。

千葉県の取り組み

大多喜町の取り組み

  • 各種がん検診・特定健康診査(現在ホームページへの掲載がありませんので、詳しくは来年度町のおしらせでご確認ください。)
  • 風疹予防接種の費用助成(対象:妊娠を予定又は希望している女性、夫)
  • 妊婦歯科健康診査 (対象:妊婦全員)
  • 不妊治療助成(対象:法律上の夫婦又は事実婚関係にある夫婦で、両者又は一方が治療を開始した日の1年以上前から大多喜町に住所を有し、今後とも大多喜町に定住する意思のある方)
  • HPV予防接種(対象:平成9年度から平成19年度生まれの女性で、過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない方に、あらためてHPV接種の機会が設けられています。キャッチアップ接種対象期間は令和4年4月から令和7年3月までです。R6年度で終了しますので、対象の方はご注意ください。)

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この記事に関するお問い合わせ先

健康福祉課保健予防係
〒298-0292
千葉県夷隅郡大多喜町大多喜93番地
電話番号:0470-82-2168
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